私とリオンは、まもなく門の中に案内された。

入ってみれば、そこには大きな氷の街が広がっていた。

家や店が門と同じように薄蒼く輝き、それが遠くまで続いていた。

どの建物も、私の住んでいる家を二つ重ねたくらいの高さがあり、どの窓からも

色とりどりの花がこぼれそうなくらいに咲いていた。

そしてその花々が、氷の中の柔らかな光を受けて暖かな色彩を蒼い街全体に

添えていた。

今私たちが歩いているのは、門から続いている大きな通りで、視線の先にはと

てつもなく大きな氷の結晶が天に向かって伸びていた。

リオンは、そこに向かって歩いているようだった。

この町に入ってから、彼の方が一歩先を行くようになったので、私は少し安心し

た。とはいっても、魔剣はやはり彼の背にあるのだけれども・・・・・・。

リオンはあまり話さなかったので、ずっと私たちに付いてくる人はいなかったが、

それでも彼を一目見たいという人が途切れなかったので、私たちの周りは常

に人垣ができていた。

その中に、私はクリスを見かけたような気がした。

けれども、人は声をかけるまもなく流れていき、私はリオンを見失うまいと必死

に後を付いていった。


向こうから人が近づいてくることに気が付いたのは、取り巻いていた人たちが

唐突に離れ始めたからだった。

立ち止まったリオンに、私は気が付いて振り返った。

その顔が、明らかに引き締まっていた。

まるで、何かに対して身構えているような、そんな緊張した様子だった。



向こうから、数人の人たちがこちらに向かって近づいてきていた。

その、一番前を歩いている青年に、目が留まった。

年は、リオンやクリスと同じくらいなのかもしれない。

艶のある黒髪に、蒼い両の瞳。そして・・・・・・一番私の目を引いたのは、頭部

に伸びている1本の角のようなものだった。

「これはこれは、よくお戻りになりましたな、騎士団長殿」

そう言ったのは、脇に控えたほうの男だった。その顔は、憎々しげにリオンのこ

とを見つめている。顔だけでなく、掛けた声も仰々しいものがあり、なんとも心地

が悪かった。


それに対して、リオンは何も答えなかった。微かに振り返ってみれば、ただ、何か

に耐えるかのように両手を小さく震わせているのが見えた。

「―――リオン」

一番前の青年が、そう、声を掛けた。彼もまた、再会を喜んでいるような顔には

見えなかったし、声も低く威圧的な響きがあった。けれども・・・・・・

確かに、喜んでいるようには見えなかったのだけれども、脇に控えた男たちと違

って、憎しみや怒りを湛えているようには見えず、むしろ・・・・・・何かに迷っている

ように、私には見えた。

そして、やはりリオンは、何も答えなかった。

「また後で、・・・城で会おう」

それ以上は何も言わないまま、青年は付き人を連れて引き返していった。

その後姿を、リオンはずっと見つめていた。その顔に、悲しみとも憔悴ともつかない

色を浮かべて。





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