| 旅する者は皆、大きいにしろ小さいにしろ何らかの目的を持ってい る。それが彼らのよりどころ・・・生きる糧・・・となっている場合も少な くない。 そして私の旅ど初めて出合った旅人も、そういった人のひとりだった。 束ねられた鮮やかな青い髪が印象的なその女性は、エマソンとい う国の戦士だったらしい。 名前はクリス。ある大切な人を捜すために国を出て、世界各地を転 々としていたらしい。 「リオンっていうの。国の騎士団の隊長だったんだけど・・・突然消え るようにいなくなってしまったの。城門を出て行くところを見たって いう人がいたから、もしかしたらって思って・・・。でも、外れみたい。 オ−ダンの町に寄ったら帰ることにするわ。彼、戻っているかもしれ ないし。」 私は、リオンはどうして彼女に行き場所を伝えなかったのかと聞いて みた。 「彼は私のことを知らないわ。リオンは、私にとって憧れの存在なの 。だから、私に行き場所を言わないのも当然だわ。」 私はそれを聞いて驚いた。 人を好きになったことはあまりない。 だから分からないのかもしれないが、人をそんなにも好きになること ができるのだろうか。 彼女は微笑んで言った。 「貴女にもきっとあるわ。」 クリスは私を樹海まで送ってくれた。 そのあいだ、私は彼女から様々なこと・・・ナイフの使い方や、植物 の見分け方など・・・を教わった。 もっとも、旅の途中で現れた魔物は、クリスの鮮やかな槍さばきで撃 退したため、実際にに戦う手段としてナイフを使ったことはなかった のだけれども。 家を出てから7日目。 私たちは樹海を目の当たりにした。 「ここで、お別れね。」 樹海への、入口。 看板が立っているわけでも、門があるわけでもない。 ただ、樹々の立ちつくす、濃厚な空間が広がるのみ。 クリスは言う。 「もし・・・もしここでリオンに会ったら国に戻るよう、伝えて。お願い。」 私はうなずき、必ずそう伝えると約束した。 私とクリスは互いに別れを告げ、私は樹海へと、クリスは来た道へと 歩みを進めた。 ・・・・・・ next page>> |