森はとても静かだった。

それは、最初にここへ来たときに感じた静寂と、同じもの・・・


あてもなく、私は歩き続けた。

タプラスと初めて探索に来たときに寄った、水源にたどり着いた。

そこからさらに歩みを進める。

似たような景色が続いているけれども、それはひとつとして同じ景色

ではない。

木々の葉の色は、陽光の受け具合いで、その色調を千にも万にも変

えている。

そしてそれはまるで、人のこころのようだった。



そうして私は歩き続け、疲れて木の根に腰を下ろしたときにはもう、

自分がどこから歩いてきたのか分からなくなっていた。

木の幹に背を預け、深く息を吸い込 んだ。


―――ジェニライさん・・・みんな、どこに行ったのかな?


見上げる木々の葉が、涼しげに風に揺れた。

そして急に、私はひとりでいることが怖くなってしまった。


―――私、なんでこんなことをしちゃったんだろう・・・。自分一人じゃ

、何もできないのに。


私の頬を冷たいものが伝った。


―――これからどうしよう・・・・・・


それはとても身勝手な問いだった。

木々の羅列は止まらず、スターサボテンはどこにも見当たらない。

私はなんだかとても疲れてしまい、気が付くとその場で目を閉じてい

た。

そしてまぶたは開かずに・・・・・・




気が付いたときにはすっかり辺りは暗くなっていた。

夜の樹海。

そこを散策するのは、初めてである。

虫の音や、夜鳥の鳴き声がそこかしこで聞こえている。

心なしか、空気が寒く感じられた。



私は視線を巡らして、遠くが薄明るくなっていることに気が付いた。

立ち上がって土を叩き、目を凝らしてよく見てみると、確かにある場

所だけがぼんやりと明るくなっている。

私は、歩いてみることにした。

暗いので足元がはおぼつかず、幹に捕まりながらゆっくりと歩いてい

た私は、ようやくその光のもとへとたどり着いた。


そこは、開けた場所だった。


木立は何かに遮られているかのように、そこで繁茂を絶っている。

そしてそこには、スターサボテンを含む様々な植物が、淡い光を放っ

ていた。


―――ここは・・・?


あまりにも幻想的な光景に、私はしばらくその場から動くことができ

なかった。

しゃがみ込んで、グラブを外した手でサボテンに触れてみる。


―――そういえば、家の庭に置いてきたサボテンも、こんな感触だっ

た。・・・あれからだいぶ経つけれど、枯れてはいないだろうか?


ふと、そんなことを考えているとき、土を踏みしめるような音が聞こえ

た。

・・・探索をしているとき、魔物に時々出会うことがあった。

今まで魔物に出会わなかったのは、とても運が良かったことなのか

もしれない。


・・・どうしよう。自分ひとりじゃあ、戦えない。


逃げることを優先に考えて、音のした方をゆっくりと見上げてみた。





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